ICUへの転職!看護師が語る辛すぎる内情とその先にあるメリット3つ
看護師の皆さん、こんにちは!
私はICU歴7年の看護師さとみです。
皆さんは、理想の自分を想像したことありませんか?
後輩からの質問にズバッと答えられる私。
難しい処置もテキパキこなせる私。
急変の時もみんなに指示が出せる私。
患者さんや職場の仲間から頼りにされる私。
私もそうでしたが、ICUならこんな理想の自分になれる!
って期待して入職してくる看護師、多いんですよね。
でも・・・ICUはやめた方がいい。
とにかく辛い。辛すぎなんですよ。
理想の自分?そんな簡単になれるかい!
というわけでここからは、ICUで働く私が「ICUはやめとけ」って話しをしたいと思います。
ICUはとにかく辛い
ICUではたくさんのスキルが身につきます。それもワンランク上のスキル。
生命維持装置の扱いや急変対応のスキル。
循環動態に注意した看護。
精密な点滴技術、薬剤の知識。
検査値の異常の意味、全身をアセスメントし理解するスキル。
どんな診療科の患者さんも診れるスキル。
病棟でだったら、なかなかここまでのスキルを身につけられませんよ。
しかも自慢できるようなスキルばかり!
それはICUがワンランク上の職場だからです。
でもね、もう・・・とにかく辛い!
「明日辞めよう」と何度決心したことか。(結局辞めれず7年目)
何がそんなに辛いかって?
勉強がとにかく辛い
ICUはアセスメント能力は抜群に鍛えられるし、どんな疾患もカモーン!って自信がつく。
あらゆる診療科の、重症患者さんばかりを毎日看ますから。
でもね、勉強がとにかく辛いんです。
ICUって、勉強大変なんだろうな~って思うでしょ?
その想像の10倍だと思ってくれればよし。
とにかく勉強、勉強、勉強!
私なんて今でも必死こいて勉強してますよ。
ICUでは診療科が限定されない分、勉強の範囲も量も膨大。
もし脳外科だったら、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍など主要な疾患、脳の解剖生理は入職前におさえておきましょう。
といわれるかもしれませんね。
ICUでは違います。
疾患は脳、呼吸器、循環器、消化器、血液、整形、など全範囲。
解剖生理は全身必須。
その他にも全身のアセスメント、薬の薬効、点滴ポンプ、様々な検査と結果の意味など・・・
「これらをきっちり勉強してきてね。」って、さらっと言われます。(泣)
とにかく勉強することだらけなんです。
だから家に帰ってからずっと勉強。
寝る時間を削ってひたすら勉強。
休みの日も早起きして勉強。
遊びの誘いも断って勉強。
終わりが見えない勉強地獄はこんな感じです。
こうなるとプライベートがなくなりますね。
休みだからと言って昼頃まで寝てしまうと、罪悪感と後悔しか残りません。
1日遊んだ日は、家に帰ってからやっべ!って半泣き。
付き合いが悪くなるから連絡をとる友人も次第に減っていきます。
女子力・・・に磨きをかける時間なんてない!
もちろん、こうまでしてやる勉強ですからね、役に立つこともあります。
でもたいていは教科書通りに行かないことがほとんど。
いくつもの疾患や症状が組み合わさった状態の患者さんも多く、病態が複雑だからです。
勉強の成果がなかなか報われない。だから余計に辛くなっちゃうんです。
こんな感じでICUは勉強がとにかく辛い。
厳しさがとにかく辛い
ICUには、意識が高くて、すごい看護師が集まります。
超急性期の職場ですからね。
その道を極めたい人。
常に挑戦したい人。
自分にも、他人にも厳しい人。
学会に参加したり、海外の論文を読んで勉強したり、自己研磨のレベルが高い人。
ICUにはこんな看護師が多いですね。
私はICUで働き始めた頃、そんなすごい人達と働けるなんてラッキーって思っていました。
だって、質の高い看護を間近で見られるんですよ。
すごい看護師の指導だって受けられるんだから。
最高のお手本がすぐそばにいるって恵まれてる!
・・・でもね、厳しさがとにかく辛いんですよ。
ICUは命に直結する職場ですからね。
ハンパなことは許されないわけです。
もし根拠のない看護をしようもんなら、先輩の喝をくらいます。
ICUはワンフロアで壁がないので、先輩の目がいつも光ってますから。
見守られてると思えば安心につながるんですけど・・・
たいていの人はプレッシャーに感じます。
それに、先輩の「なぜ?」「根拠は?」の嵐にうまく答えらないといけません。
なんとなく・・・が一番許せないんですよ。
エビデンスに基づいた看護は絶対ですからね。
急変時、オロオロしていると「できないなら触らないで!」なんて言われることも。
「勉強できてないなら今日はもう帰って!」と言われたこともあります。
その他、叱られるとこなんてしょっちゅうですよ。
意識が高くいつも全力で業務しているからこその厳しさですね。
だから落ち込むんです。毎日落ち込みます。
しかも、あまりの厳しさに、なかなか自分の成長を感じられません。
叱られるたびに、焦りやプレッシャーを感じます。
同期と比較して、落ちこぼれ感を抱きます。
病棟の同期は独り立ちして、夜勤やリーダーを任せられているのに自分は・・・って。
たしかに、命の現場なので厳しくなるのは当然。
その厳しさには理不尽さはないです。
でも、やっぱり叱られてばっかりは辛いんです。
患者さんのため、そして教育のための厳しさだとわかっていても。
こんな感じでICUは厳しさがとにかく辛い。
乗り越えた先のメリット
理想の自分になりたい。ICUならそれが叶う!
もちろん可能性は大きい。
でもそれは簡単じゃない。相当辛いですからね!
これまで1年もたたず辞めた看護師をたくさん見てきました。
やるからには、覚悟してください。
ただ、その先にあるメリットを知らないとモチベーション上がりませんよね。
そこで次は、ICUで働き続けたらこんなメリットがあるって話をしたいと思います。
メリットはこの3つ!
・看護に専念できる
・多くのスキルが身につく
・すごい看護師になれる
まずは、ICUは看護に専念できるという話から。
看護に専念できる
ICUが看護に専念できるのは、ムダが少ないからです。
どういうことかって?
まず、2対1の職場はムダが少ない。
ICUでは基本、2人の患者さんしか受け持ちません。
2対1の看護体制ですからね。
病棟だと、患者さん7人を受け持つ場合、7人分の情報収集や対応が必要になりますよね。
入院した経緯、入院後の記録チェック、既往歴、 家族構成、治療内容、ドクター指示、1日のスケジュールの把握など・・・。
受け持ちの人数分必要になってきます。
それだけではなく、受け持ち人数が多いと記録や必要書類をそろえるといった看護以外の業務もかなり負担です。
その点、ICUでは2人分。
だから、手間や負担が少なくなる分、看護に専念できます。
次に、重症患者相手の職場はムダが少ない。
ICUは意識がない患者さんや、鎮静がかかっている患者さんがほとんどです。
病棟のように、トイレ、食事、入浴、移動など日常生活援助が極端に少ないんですよ。
そのため、緊急性の低いナースコール対応や、世間話で盛り上がるなんてことはまずありません。
話せても、体力温存のため必要最小限の会話。
ちょっと寂しい気もしますが、その分看護に専念できますよ。
さらに、ワンフロアの職場はムダが少ない。
ICUはワンフロアの職場です。
壁や仕切りをなくし、患者さん全員を見渡せる環境になっています。
異常の早期発見や、急変に迅速に対応するためですね。
そのため、病棟のように病室を行ったり来たりすることがありません。
あれ、結構な運動量ですよね(汗)
またICUでは、基本ベッドサイドで業務をします。
病室でバイタルやアセスメントの結果をメモし、ナースステーションに戻ってから記録する。
という移動時間や二度手間がありません。
だから看護に専念できるんです。
このようにICUでは、雑務、手間、移動が最小限なので、看護に専念できるんです。
看護に専念できる環境は、スキル習得のためにはとても有効。
そこで次は、こんなにたくさんのスキルが身につくという話をします。
多くのスキルが身につく
ICUは多くのスキルが身につく職場です。
しかも看護師なら誰もが身につけたいと思うワンランク上のスキル!
高いアセスメントスキル。
ICUの患者さんは、状態が不安定な重症患者さんばかりです。
意識障害、多様な薬剤による鎮静、多くのドレーンやチューブ、医療器機の装着。
病態も状態も複雑な患者さんのアセスメントは、非常に難しいんです・・・
全身状態、検査データ、医療機器、解剖生理、病態生理などすべてを関連づけてのアセスメント。
そんな高いアセスメントスキルが求められます。
看護師はこれまでの経験と、知識をフル回転させます。
看護師の判断が患者さんの生命を左右することもありますからね。
このようなプレッシャーの中、毎日全力で考えて看護しているんですよ。
だからこそ、高いアセスメントスキルがどんどん身につくのです。
医療機器のスキル。
ICUの看護師は、毎日医療機器に囲まれて業務をしています。
特に、ベッドサイドモニター、人工呼吸器を必要とする患者さんが多くいます。
重症患者さんの全身管理において、医療機器は必須です。
だから、数値の示す意味やアラームの原因が分からないと、重症患者さんの看護はできません。
病棟では医療機器に触れる機会が少ないけど、ICUでは毎日触れます。
アラームが鳴ってもオロオロしません。
実践で学べるので、医療機器のスキルもどんどん身につきますよ。
幅広い疾患の看護スキル。
ICUでは、外科、内科問わず様々な疾患の患者さんがいます。
そのためあらゆる疾患の看護が経験できます。
病棟でいろいろな診療科を経験しようと思うと大変ですよね。
脳外科、循環器科、呼吸器科、消化器科、透析科・・・
異動や転職でたくさんの診療科を渡り歩かなくてはなりません。
しかし、ICUでは診療科を限定しません。
だから、幅広い疾患の看護がどんどん身につきます。
急変対応スキル。
IUCでは不安定な患者さんが多いので、急変の頻度も高いんです。
そのため、ICU1年目でも急変対応が経験できます。
病棟では、急変対応できる機会ってなかなかないですからね。
急変に強くなるには、経験です!
急変時の看護師のスピード感や、その場の緊迫した雰囲気は、実践でしかわかりません。
経験を積むことで、急変時も怖がらず、冷静に対応できるようになります。
このようにICUではたくさんのスキルが身につきます。
・高いアセスメントスキル
・医療機器のスキル
・幅広い看護のスキル
・急変のスキル
自慢できるスキルばかりです!
そして、このようなワンランク上のスキルが身についた看護師は、ワンランク上の看護師にもなれます。
すごい看護師になれる
ICUで経験を積むと、すごい看護師になれます。
どんな看護師なのか?
それはこの3つを兼ね備えたワンランク上の看護師です。
看護のレベルが高い。
ICUでは、自然と看護のレベルが高くなります。
毎日重症患者さんを診ていますからね。
ICUでは日々医療機器から得られる情報をアセスメントし、全身管理をしています。
そのため人工呼吸器の看護、心電図の読み取りなんて、できて当たり前なんです。
また、重症患者さんは処置のやり方によっては急変につながることがあります。
このような責任やプレッシャーの中、循環動態の変化や苦痛がないよう気を配って看護を行っています。
当然、看護の質はあがります。
だからICUの看護師は、看護のレベルがぐんぐん高くなります。
迷いがない。
ICUはスピードと判断力が求められます。
超急性期の職場ですからね。
どんなに重症な患者さんでも、素早くアセスメントしなければなりません。
時間をかけてたら、患者さんの状態は悪化してしまいますから。
また、今優先してするべきことと、そうでないことの判断力が必要です。
判断ミスは、患者さんの急変にもつながりますから。
そのため超急性期では、迷いは禁物。日々判断力が鍛えられます。
だからICUの看護師は、看護に迷いがないんです。
なんでもこなせる。
ICUでは、様々な診療科の看護が実践できます。
病院中の全診療科状態の悪化した患者さんや、外部からも受け入れていますからね。
脳外・心外オペ後、透析、消化器疾患、心臓疾患、血液疾患、毎日色々な患者さんを診ます。
だからICUで経験を積めば、どんな患者さんでもみることができます。
オールマイティな看護師になれるのです。
オールマイティな看護師は、転職先の幅もぐんと広がります。
このようにすごい看護師とは、看護レベルが高く、迷いがなく、何でもこなせる看護師なんです。
皆さんの理想の看護師に近くないですか?
まとめ
ICUで経験を積めば、いずれ理想の自分になれる!
その条件はそろっています。
ただ、ICUに転職したからといって、すぐに理想の自分になれるわけじゃない。
まずはたくさんの辛いことが待っています。
ICUで学びたい!勉強頑張る!何があっても辞めない!
とやる気で入職してきても、辛くて辛くてもうどうしようもない時期が必ずきます。
そんな時に、未来の自分を想像してください。
続けてさえいれば、きっとすごい看護師になれるんだから。
私はね、どんなに叱られても、向いてないって言われても、ドクターにバカ呼ばわりされても、それでも図太くICUに居続けました。(笑)
そして7年目の今、ちょっとかっこいい看護師になれました!
ICUの中でも、スタッフやドクターから頼ってもらえるようになりました。
こんな私でもね!
辛い期間はけっこー長い。だからあきらめる?
それとも、その先にある理想の自分になってみる?
選択肢は2つです。
私のように図太い看護師になることをおすすめします(笑)